沖縄に甘えている 那覇市長、「軍国主義」と批判
武田博史沖縄防衛局長(右)に対し、日米合意について
「ちぐはぐだらけの防衛政策」と批判する翁長雄志市長
=19日、那覇市役所応接室
「ヤマトンチュになろうとしても(日本に)寄せ付けられ
なかったんだ」。
翁長雄志那覇市長は19日、就任あいさつのため那覇市役所を訪れた武田博史沖縄防衛局長に対し、日米両政府がオスプレイの沖縄配備に合意したことに「戦前の軍国主義はこんなものだったのかと思うくらい情けない」などと詰め寄る場面があった。
「沖縄が日本に甘えているのか、日本が沖縄に甘えているのか」。強い不快感を表した上で、オスプレイを山口県の岩国基地で運用するよう求めた。
普段は来客者に「ハイサイ」と明るく迎える翁長市長。だが武田局長が自己紹介をするやいなや言葉を遮り、怒りを抑えきれない様子で「私から話していいですか」と切り出した。
「ちぐはぐだらけの防衛政策を、なぜ県民の命に代えて守らなければいけないのか」
政府の対応に不信感をあらわにした翁長市長は「残念」の言葉を繰り返した。
日米合意を発表した森本敏防衛相には「能面のような顔で
沖縄に強行配備すると言う。
この人たちは沖縄を領土としか考えていない。県民のことをほとんど心配していないということがよく分かった」と批判した。
本土でも訓練を行い、負担軽減を図る-とした武田局長の説明にもかみついた。「懐柔して強行配備するものだ」
「今回アメリカが絡んでいるだけに(日本が)奴隷のような感じも受ける」と嘆いた。
その上で「ヤマトンチュ(日本人)になりたくて、なりきれない心」と沖縄の心を表した故・西銘順治元県知事の言葉を引用し「ヤマトンチュになろうとしても(日本に)寄せ付けられなかったんだと感じた」。こう本土との溝の深さを表した。
「戦前、戦中、戦後、こんなに国に尽くした県はないと思う。よく沖縄を甘やかすなと言う人がいるが、沖縄が日本に甘えているのか、日本が沖縄に甘えているのか、(防衛相から)はっきり聞きたい」と強く迫った。
これに対し武田局長は「森本大臣にお伝えします」と
小さな声を絞り出すのがやっとの様子だった。
琉球新報