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「古酒香」酵母で向上 商品化へ(OKINAWA)

2012年10月4日 - スタッフ公式
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「古酒香」酵母で向上 神村酒造が商品化へ
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従来酵母に対する芳醇酵母の2成分の比較
/経年数とマツタケオール濃度
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泡盛の「古酒香」をつくる主要2成分濃度を同時に高める醸造技術を開発したバイオジェットの塚原正俊社長(左)と鼠尾まい子理学博士=3日、沖縄タイムス社
 バイオベンチャー企業のバイオジェット(うるま市、塚原正俊社長)がこのほど、熟成した泡盛古酒が醸し出す「古酒香」の主要成分「バニリン」と「マツタケオール」の濃度を同時に高める醸造技術を開発した。
新酒でも3年間熟成させた古酒に近い風味の泡盛を造ることに成功。2成分の濃度を高める酵母を「芳醇(ほうじゅん)酵母」と名付け、先月27日、東京都内で開かれた日本醸造学会で研究成果として報告した。
共同研究した神村酒造(うるま市、神村盛行社長)が近く、同酵母を使った商品を発売する。
(座安あきの)
 バニリンはバニラのような甘い香り、マツタケオールはマツタケのようなキノコの香りで、古酒特有の甘みと深みをつくる成分として知られている。
塚原社長が手掛けた研究でこれまでに、バニリンの濃度を高めるマンゴー由来の酵母が開発されているが、バニリンとマツタケオールの両方の濃度を高める醸造技術は初めてという。
 芳醇酵母の研究では、2成分の濃度を高める醸造条件を検討。複数の酵母菌の中から、バニリンの濃度が一般的な泡盛に使われる酵母の8・3倍、マツタケオールが5・5倍に増幅される酵母菌株を見つけた。古酒との比較では、芳醇酵母のマツタケオールが一般酒を3年熟成させた古酒とほぼ同じ濃度になることもわかった。
 バイオジェットは新商品の開発を検討する神村酒造から依頼を受け、1年ほどかけて研究開発してきた。古酒香をつくる成分に焦点を当てた醸造技術の開発は少なく、醸造学会でも注目されたという。神村酒造は本格販売に向けて準備を進めている。
 今後は、芳醇酵母の泡盛を熟成した際の風味の変化や、
2成分をさらに高める酵母の研究を続ける方針。
 塚原社長は「甘みと深みのバランスの良い泡盛を造ることができた。研究成果からさまざまな可能性を企業に提案し、泡盛の振興に役立てたい」と話した。
 同社はトロピカルテクノセンターの研究員らが独立して2011年4月に設立。紅麹(べにこうじ)の原料販売のほか、泡盛黒麹菌・酵母の全ゲノム配列の解析、酒造・食品製造に関する技術支援、企業との機能性食品・栄養食品の共同開発などを手掛けている。
   沖縄タイムス

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