伝統サバニ製法、後世へ
糸満海人工房「南洋ハギ」作り再現
サバニ製作を始めるに当たり、安全祈願をする関係者
=4日、糸満市西崎の糸満海人工房・資料館
【糸満】
糸満市西崎の糸満海人工房・資料館を運営するNPO法人ハマスーキ(上原謙理事長)はこのほど、海洋博公園から2隻のサバニの製作を請け負った。
4日、サバニ製作を始めるに当たり、安全祈願式を同館で催した。市内でのサバニ製作は3年ぶり。
祈願式は、満潮に近い時間を見計らって開かれた。
上原理事長は、縦7メートル、幅1メートルのサバニ用に取りそろえた材木の上に正座し「なまから、てぃーんざしさびんどぅ(いまから仕事をしますよ)」と口上を述べた。
その後、船大工の2人と一緒に材木にお神酒をかけ、かなづちを3度たたいて安全を祈願した。
サバニは、木をくりぬいた「マルキンニ(丸木舟、くり舟)」と板をはぎ合わせた「ハギンニ(はぎ舟)」に大別される。今回製作するのは、代表的な形の「本ハギ」と「南洋ハギ」の2種類。
南洋ハギの作り手は県内で2人しかいないという。
希少な船大工の大城昇さん(61)=糸満市=は「南洋ハギを自身で手掛けるのは約20年ぶり。サバニに興味があっても本ハギしか知らない人が多い。作り方を後世に残したい」と話した。
大城清さん(62)=糸満市=は弟子と一緒に「本ハギ」を担当。「サバニは、先人たちの知恵の塊で芸術品。恥ずかしくないよう作らないといけない」と意気込んだ。
サバニは2隻ともことし中に完成させる予定。来春、改装オープンする同公園の海洋文化館に展示される。
琉球新報