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米兵中学生傷害事件 身柄求めずに怒り(OKINAWA)

2012年11月5日 - スタッフ公式
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米兵中学生傷害事件 
地位協定に不満噴出 身柄求めずに怒り
 
読谷村で起きた米空軍兵とみられる男による住居侵入中学生傷害事件は、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行、米海軍兵による集団女性暴行致傷事件でかき立てられた県民の怒りを一層強めた。
日米両政府と米軍が再発防止を誓っても後を絶たない米兵事件の続発と、日米地位協定の改定に背を向けた政府の姿勢に対し、「基地の全面撤去運動になる」(新垣修幸読谷村議会議長)など、基地撤去を求める声が強まり始めた。
 藤村修官房長官は米側が捜査に全面協力する姿勢を示していることを挙げ、起訴前の身柄引き渡しを米側に求めない考えを示した。一方、10月に起きた米海軍兵による集団女性暴行致傷事件を受け、米側が深夜外出禁止措置を講じてからわずか2週間で今回の事件が起きた。
県内からは厳しい態度で身柄を要求すべきだとの不満の声が噴き出している。
 日米地位協定第17条5項(C)は米軍人の容疑者の拘禁について、身柄が米国にあるときは日本側の起訴まで米側が引き続き身柄を確保することを明記している。
一方、殺人や強姦などの凶悪な犯罪の場合は米側の好意的な考慮で起訴前に日本側に身柄を移すことで日米が合意している。
 今回の事件は凶悪犯罪に当たらないが、県幹部は藤村氏が身柄を求めない考えを示したことに対し「(米側への)悪しきメッセージになる」と日本側が厳しい姿勢で臨むことを求める。
「一つの害の軽重でなく、連続して事件が起きていることを重大視すべきであって、日本政府が引き渡しを求めないのはおかしい」と、発生当日に地位協定への波及を抑えようした動きを厳しく批判する。
 在日米軍は、集団女性暴行致傷事件を受け、10月19日から日本にいる全ての軍人を、午後11時~午前5時の深夜外出禁止とする再発防止策を始めているが、再発防止につながらないことが浮き彫りになった。
 沖縄対外問題研究会顧問の宮里政玄氏(元琉球大学教授)は、「沖縄は米国が占領していたところであり、植民地というように見ている態度の表れではないか。
同じような状況は米本土では起きない」と、沖縄を軽んずる米軍の本質的な問題であると指摘する。併せて日本本土の沖縄への「蔑視感情」も問題が解決しない原因に挙げる。
 一方、外務省は、起訴前の身柄引き渡しの必要性がないとの姿勢だ。同省幹部は「ルース大使は捜査に全面的に協力することを明確にしている。捜査上の必要性や犯人逃亡の恐れがあるかどうかで判断するが、この点から今回は身柄引き渡しを要請する必要はない。捜査当局からも求めがない」と説明する。凶悪事件でない今回のような事件で、過去身柄引き渡しの要請をしたことがない先例も強調する。
 政府内は、今回の事件で日米地位協定見直しの声が高まることを懸念する。別の外務省幹部は「今回の事件は、米側が決めた外出禁止のルールが守られていないということが問題だ。地位協定は直接関係ない」と地位協定見直し論をけん制した。
 (内間健友、問山栄恵)
  琉球新報

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