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「一から出直せ」辺批判続々(OKINAWA)

2012年12月20日 - スタッフ公式
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「一から出直せ」辺野古アセス補正に批判続々 null
 米軍普天間飛行場の移設に向け、沖縄防衛局が突然、県などに提出した環境影響評価(アセスメント)の補正評価書。
一夜明けた19日になって、新たな環境保全策など内容の一部を説明した。専門家は「移設ありきでは保全はない」と断じ、
「一から出直しを」と求めた。
「移植先の環境かく乱」
サンゴ

 評価書は、代替施設建設工事でサンゴの生息域約7ヘクタールが埋められるとしていた。今回、過去の白化現象まではサンゴが生息していた海域を、回復の可能性がある海域(生息ポテンシャル域)として新たに計算し、約30ヘクタールが消失するとした。
 埋められるサンゴの対策としては、初めて移植を挙げた。
日本自然保護協会の理学博士(海洋環境学)、安部真理子さんは「移植先の魚類や貝類の事情も考えず、迷惑な話。環境がかく乱される可能性が大きい。サンゴしか目に入っていないのではないか」と疑問を投げ掛ける。
 代替施設の護岸に凸凹を付けてサンゴを着生しやすくする、海水の汚濁防止幕を追加するなどの対策についても、「やらないよりまし、という程度のお粗末なもので保全措置とは呼べない。
直接埋められないサンゴにも影響が出るだろう」と懸念した。
藻場造成「技術まだ」
  海草類

 辺野古沖には、県内最大規模の海草藻場が広がるが、埋め立てで消失する面積は海草で約78ヘクタール。評価書が示した保全策は、知事意見で「不確実性の程度が大きい」と指摘されていた。
 補正では、環境保全策について、海草類が覆っている面積が少ない場所や、穏やかな海域へ移植し、藻場を造成するなど、できる限り実施するとしている。移植では、泡瀬干潟の埋め立て事業に伴う実績を参考にすることも挙げた。
 泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「移植した新たな場所で根を伸ばし、拡大することはなかった」と泡瀬の例を指摘。「海草の移植技術は確立されておらず、移植は成功しない」と強調。
 また、生育状況の事後モニタリングの結果を保全策に反映するとしているが、「単に心証をよくしようとしているだけのごまかしだ」と批判した。
辺野古漁港 W値71・3
   騒音
 
オスプレイを含めた航空機騒音は、場周経路(飛行ルート)から外れる飛行のばらつきや、ホバリング(空中停止)やエンジン調整音も新たに反映させて再予測した結果、全15測定地点で補正前のW値(うるささ指数)を上回った。
 最も高いのは辺野古漁港の71・3で補正前より2・1上昇。国は環境基準で住居専用地域は70以下と定めているが、防衛局は「漁港に集落はなく、問題はない」とした。ほかの14地点は70以下だった。
 ホバリングは1日当たりの回数0・85回、継続時間は300秒で計算。米側がデータを提供しない分は自衛隊機で換算。エンジン調整音は普天間飛行場での実測値を用い、継続時間は約60秒と設定した。
 一方、離陸を伴わないエンジンテスト音は、普天間で頻繁に確認されているが、補正で反映しなかった。防衛省によると、W値の算出法を定めた同省の通達では考慮しなくてもよいと解釈されるという。
毎年上陸「矛盾だ」
   ウミガメ
  
辺野古崎周辺では、ウミガメの上陸、産卵、ふ化が確認されている。にもかかわらず評価書は「上陸には好適ではない」と判断。知事意見は異議を唱えたが、今回も結論は変わらなかった。
 ただ、2009~11年度の調査で、毎年上陸や産卵を確認したことは記述した。調査内容はすでに報道で明らかになっており、評価書の段階で盛り込まなかった防衛局の対応に批判が集まっていた。
 世界自然保護基金(WWF)ジャパン南西諸島担当の権田雅之さんは「『上陸に好適ではない』と言いながら毎年確認され、矛盾した内容」と指摘する。
 代わりの産卵場所として砂浜を整備することも初めて表明された。防衛局は「具体的にはこれから」と説明する。権田さんは「急ぎすぎで、有効かどうか非常に不安。
いま一度立ち戻って、慎重に工事計画や規模、内容を検討すべきだ」と求めた。
工事音で絶滅危惧
   ジュゴン

 ジュゴンについては、知事意見に応え、統計学的に絶滅の可能性を探った。100年後の確率を算出し、代替施設建設の有無で「有意差はない」と結論付けた。
 ただ、計算の基になったのは、えさになる海草藻場の面積だけ。ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局次長は「ジュゴンは漁業の圧力や人間の活動が多い所にはすめないからこそ、生息地が限られている。
えさ場があるから大丈夫というのは不誠実であり、机上の議論だ」と批判した。
 鳴き声を探知して工事船との衝突を避ける「ジュゴン監視・警戒システム」の導入も示されたが、細川さんは「人間中心の発想」と退ける。
「確かなことは、ジュゴンが名護市東海岸を利用していて、工事の音などで追い出されれば絶滅する危険があることだ」と訴えた。
   沖縄タイムス

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