宜野座の中学生「なぜ政府は動かないのですか」
【宜野座】
「家の真上を飛んでいるのに、なぜ政府は動かないんですか」-。オスプレイ配備後、飛行訓練の激しさが増す宜野座村で松田区に住む宜野座中3年の比嘉太志君(15)が、オスプレイ配備反対の声を首相官邸に送った。
訓練の騒音禍にさらされ、新聞記事を読んで
問題意識を高めたのがきっかけだ。
比嘉君の自宅はキャンプ・ハンセンから約700メートルの距離にあり、実弾射撃訓練や離着陸帯(ヘリパッド)でのヘリ訓練の音が日々響く地域だ。オスプレイ配備後は、自宅上空を同機が低空飛行、「網戸がガタガタ揺れるぐらいの騒音」に、比嘉君や家族は不安を募らせている。
比嘉君は、LINE(ライン)と呼ばれるスマートフォン(多機能携帯電話)の無料通話の仕組みを使って今月15日、首相官邸にメッセージを送った。
同村での訓練が報じられた新聞記事を読んだその日で「家の上空すれすれを飛んでいるのに、なんで政府は動かないんですか。この鉄の塊を早く撤退させてほしい」との内容。
いまだに返信はないが「県民だし、訓練を一番身近に感じているから、書かずにはいられなかった」という。
以前はオスプレイの配備に賛成の立場。
米軍基地がある市町村に金が入るように、オスプレイの配備でも地域が潤うと考えていた。
しかし「実際に上空を飛ぶとうるさい。『墜落』という言葉がすぐに浮かぶ。やっぱり怖いと思った」と考え直した。
学校の社会科でもオスプレイが取り上げられ、新聞にも連日掲載される状況に比嘉君は、一日も早い配備撤回を訴え、「最終的には基地が全部どこかにいってほしい」とも考え始めた。
若い世代も、ただ見て感じているだけでは駄目だと思い、「感じたことを声に出して、みんなで動けば何か変わる」と信じている。
(湧田ちひろ)
沖縄タイムス