「オール沖縄」どう構築 行動継続へ正念場
県内41市町村すべてが参加した今回の東京行動は、米軍基地問題をめぐり、日米両政府や日本国民全体に働き掛ける上で、建白書に込められた思いが県民の幅広いコンセンサス(合意)だと確認できたことに価値がある。
オスプレイ反対県民大会の実行委員会の解散後、「オール沖縄」で息の長い政治的な取り組み主体を、新たにどう構築するかが課題となる。
(政経部・西江昭吾)
実行委共同代表の翁長雄志那覇市長は要請後の記者会見で「各政党のいろんな考え方があり、どうするのかはこれからの議論だ」と述べ、最大公約数の民意をくみ取り、行動する枠組みづくりに期待感を示した。
10万人規模の県民大会、全首長による東京行動を終え、沖縄側が見据える取り組みの方向性も焦点になるが、翁長氏は「本土マスコミは『沖縄はどこまでやるのか』と聞くが、一体どこまでしたらいいのか皆さんに聞きたい。
沖縄の問題は日本全体の問題のはずだ」と指摘する。常に、基地問題をめぐる一部始終を沖縄に依存する本土側の姿勢に強い疑問を投げ掛けたものといえる。
1時間を超えた会見では、翁長氏や同じく共同代表の照屋義実県商工会連合会会長が、基地を取り巻く歴史の説明に時間を割いた。
異例の東京行動にまで至った沖縄の憤りの本質を本土側に伝えるには、歴史に対する理解が欠かせないと考えたからだ。
翁長氏は、1950年代の土地闘争を紹介。基地の固定化を狙った米軍による軍用地の一括買い上げに激しく抵抗した住民運動を引き合いに出し「当時、自治権もない沖縄が結束して土地を売らなかった。(今は)私たち責任世代が頑張る」という覚悟を披露してみせた。
今回の東京行動に参加した首長や議員らは「行政コストの3割を基地にとられる」といわれるほど、多大な労力を費やされる。
その首長たちが、さらなる行政コストを投じてでも「オール沖縄」の取り組みを深めようという信念を、日米両政府は深く認識すべきだ。
「素晴らしいこと」首相に直訴 知事が評価
県民大会実行委員会が安倍晋三首相に普天間飛行場のオスプレイ配備撤回と普天間の県内移設断念などを記した「建白書」を手渡し直訴したことについて、仲井真弘多知事は28日、「忙しい日程の中、総理にお願いできたことは、素晴らしいことだ」と述べた。
日比谷野外音楽堂での集会や銀座でのパレードなど一連の東京行動について「この寒い時季に昨日、今日と参加された皆さんは偉いです」と参加者に敬意を表した。
「辺野古を着実に」官房長官は現行を堅持
【東京】菅義偉官房長官は28日の記者会見で、沖縄からの要請を踏まえたオスプレイの配備撤回や米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設見直しの可能性について「一つ一つ着実に進めていくというふうに考えている」と述べ、辺野古移設を進めたい考えを示した。
菅氏は要請団について「沖縄の皆さんに大変なご心配があることは認識していた。陳情の中で重く受け止めている」と述べ「沖縄にはさまざまな問題があるので、誠意を持って取り組んでいきたい」と真摯(しんし)に対応していく姿勢を説明。
一方、辺野古の埋め立て承認申請の提出について「政府の考えも申し上げながら一つ一つ着実に進めていきたいのが率直な見解」と、あらためて現行の方針を堅持する考えを示した。
沖縄タイムス