かりゆし生産、最多38万枚9.3%増
かりゆしウエアの生産枚数
県衣類縫製品工業組合によると、2012年のかりゆしウエアの生産枚数は前年比9・3%増の38万5965枚となり、過去最高となった。
節電対策の「スーパークールビズ」で知名度が広がり、県外百貨店での取り扱いが増えたのが大きな要因。「ビジネス用」だけでなく、休日の「カジュアル用」の販売も増えつつあり、ウエア着用のシーンが徐々に広がっているという。
ただ、アロハシャツやポロシャツとの競合も出てきており、各社は観光客への浸透や、独自の色柄による商品の差別化に力を入れる方針だ。
(仲田佳史、榮門琴音)
日進商会(糸満市、大城英幸社長)は、県内出荷は前年並みだったが、県外向けが5300枚に倍増。
スーパークールビズを追い風に、県外百貨店での販売が好調で、百貨店での取り扱いが11年の4店舗から11店舗へと拡大した。
同社の担当者は「アロハシャツの延長で着こなす人も増えており、県外販売はまだまだ伸びる」とみる。
今夏は県内、県外向けともに1万枚を増産予定で、県外百貨店への営業に力を入れている。
ジュネ(豊見城市、吉田康秀社長)も県外向けが3割増えた。福岡や大阪などの百貨店5店舗で新規取り扱いが生まれたほか、企業からのネット注文が好調だった。
吉田社長は「この先はプロモーションを高めることが重要」と述べ、ネット販売の強化などに力を入れるとした。
パイプニット(うるま市、大坪愼治代表)は県内、県外ともに伸びた。県外向けは愛媛や新潟など地方都市の百貨店からも注文がきており、首都圏に限らず広範囲での需要が出てきているという。ただ、大坪代表は「スーパークールビズも長くは続かないのでは。ビジネスだけでなくカジュアルでも選ばれるようデザインを強化したい」と力を込めた。
同組合の伊良波勲事務局長は「節電対策で新たな衣類市場が生まれ、この先シェア争いは激化する。アロハシャツなどの競合商品との差別化をいかに図れるかが県内企業生き残りの鍵になる」と述べ、各社が「戦略的な目標を設定することが重要だ」と強調した。
沖縄タイムス