首相、辺野古「進める」 訪米前申請は見送り
会談する安倍晋三首相(左)と仲井真弘多知事(右)
=2日午後0時50分、那覇市・ANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー
(田嶋正雄撮影)
安倍晋三首相は2日来県し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた公有水面埋め立て承認申請の提出について、2月下旬の訪米前は見送る方針を表明した。
那覇市内のホテルで仲井真弘多知事との会談後、記者団の質問に答え「(訪米前の申請は)考えていない」と明言した。
県外移設を求める県民感情を考慮し、手続きを慎重に進める必要があると判断したとみられる。
知事は会談で、普天間移設について「県民はなるべく県外に出し、一日も早い移設、返還、跡利用を、という強い願いがある」と述べ、昨年12月の就任後、安倍首相に初めて県外移設を要望。首相は「普天間の固定化は絶対あってはならない。
米国との合意の中で進めていきたい」と述べ、辺野古移設を進める意向を示し、平行線だった。
オスプレイ配備について、知事は「県民の不安感の払拭(ふっしょく)に力を入れてほしい」と求め、首相は「安全確保は当然だが、住民生活への影響、不安の払拭に意を尽くす」としつつ、「訓練をなるべく県外に移すことにも努力したい」と応じた。
知事は、嘉手納より南の施設・区域返還に関し「なかなか実行されない。きちっと計画して返還を実現してほしい」と述べ、負担軽減の必要性を強調した。首相は「嘉手納以南の返還の統合計画策定を加速させることを含め、負担軽減に全力を尽くす」と述べた。
首相は来年度政府予算案で、沖縄振興予算3001億円を計上し、那覇空港第2滑走路の工期を5年10カ月に短縮したことなどを説明。「(民主党政権の)3年間に国と県民との信頼関係が壊れた。まずは信頼を構築することから始める」と述べた。
知事は県側の要求に沿った予算確保に謝意を示した。
会談は冒頭だけ記者団に公開。その後、首相と知事の2人だけで昼食を交えながら約30分間会談した。首相によると、埋め立て申請の話はせず、振興策の在り方について意見交換したという。
安倍首相は会談と前後して、糸満市摩文仁の平和祈念公園、恩納村の沖縄大学院大学などを訪問したほか、航空自衛隊那覇基地や第11管区海上保安本部を訪れた。
沖縄タイムス