[アルゼンチン]太鼓勇壮 ダンスに華 「夢海渡」メンバー 屋宜さんら参加
ドゥガンダンサの公演に出演した屋宜さん(右から4人目)とナルダさん(左から4人目)=アルゼンチン・沖縄県人連合会会館
【崎原朝一通信員】
アルゼンチンの現代ダンスグループ・ドゥガンダンサの創作ダンス「蝶(ちょう)の橋」に、アルゼンチンで活動する夢海渡太鼓のメンバーで県系3世の屋宜ナタリアさんとアルゼンチン人のナルダ・ゴメス・グティエレスさんが加わった公演が昨年11月15日、ブエノスアイレス市内レティロ地区の英国芸術センター内小劇場で開かれた。
この日の公演は日系団体や日本文化愛好者、支援者に向けたもので、夢海渡太鼓の初期メンバーや友人、三線グループのメンバーなど、日系人の顔もかなり見えた。
創作ダンスは、幼虫からさなぎを経て蝶に変貌していく成長過程をたどる内容。
動きの激しいモダンダンスで、緩やかな動きの日本の舞踏と正反対だが、その中にも相通じる、突きつけてくるイメージ、暗喩があった。
小道具の旗や布、粘着テープ、さまざまな色彩の糸など視覚に強く働き掛けた。そうしたダンスの進行の中で、屋宜さんとナルダさんの太鼓の音がはさまる。
舞踊家、振付師、演劇監督、照明家、衣装家の肩書を持つ主宰のテレサ・ドゥガンさんによると「合成された音楽がつくり上げたものが、話し掛けてくる言語である」「現代と伝統、夢と現実、西洋と東洋という二つのスタイルの共存に興味があった」。
夢海渡太鼓は、沖縄留学した若者たちが1998年に結成したアルゼンチン最初の太鼓グループ。激しい打音は海を渡る移民たちの大きな夢とつながる。今ではメンバーに非日系人も交じっている。
こうした「夢」が時代、そして次世代の手を経てアルゼンチンと日本、沖縄の文化と融合していこうとしている。
沖縄タイムス