赤馬主の墓を文化財指定 17世紀後半の横穴式墓
3所有者に指定書
八重山を代表する民謡の一つ「赤馬節」の作詞者とされる赤馬主(あかんましゅー)の墓=石垣市宮良ナーバカ1131の41=が5日、石垣市の文化財(建造物の部)に指定された。
17世紀後半、緩斜面に露出する礫(れき)岩につくられた方形状の墓口をもつ横穴式の墓。意匠的に優秀なものと認められた。
宮良村誌では、赤馬主の飼育していた赤馬が琉球王府に献上されたが、王府の調教師に従わなかったため、赤馬主は首里へ召喚されることに。出発前、死を覚悟して出発前に墓をつくったとされている。旧暦7月7日には赤馬主の子孫が供養祭祀(さいし)を行っている。
所有者は高良文雄、宇根底師淳、宇根底智生の3氏=いずれも宮良在=。先祖からは「赤馬は幻のような馬。赤馬主は杯を持って乗っても酒がこぼれなかったという話を聞いており、赤馬主はあこがれの人」などと伝えられているという。
市民会館中ホールで行われた指定書の交付式には宇根底両氏が出席。玉津博克教育長から指定書を受けた両氏は「指定を受けたことで墓に対する思いがさらに強くなる。清掃や美化を行うなど、墓を守り抜くためになお一層努力したい」と決意を述べた。
玉津教育長は「指定によって八重山と馬の歴史が語り継がれていくきっかけになれば」、前津栄信文化財審議会委員長も「宮良、ひいては八重山の誇りとして活用されることを願う」と期待した。
八重山毎日新聞