オスプレイ落下物 配備撤回し安全を保障せよ
万が一の重大事故だけでなく、積載物の落下にもおびえないといけないのか。こんな危険な話は日本中どこを探してもあるまい。 米軍普天間飛行場から離陸した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが5日午後、滑走路南西側の基地外の宜野湾市民間地に個人用水入りボトルを落下させていたことが明らかになった。
不幸中の幸いというべきか、人身への被害は報告されていない。だが、再び落下物事故が起これば住民にどんな被害が及ぶか分からない。
オスプレイからの落下物事故は、先月17日に米カリフォルニア州サンディエゴでも発生したばかりだ。自動車修理店の屋根や車6台に被害を出し、あわや大惨事となるところだった。2011年にはアフガニスタンで乗員が機体から転落し、死亡している。
オスプレイは飛行中、荷物搭載口を開放することが大半で、今回の事故もそこから落下した可能性が高い。積載物がこうも簡単に落下するのは、機体や飛行形態に構造的な欠陥があるとみていい。そのため、実効性のある事故防止策などを示せないのではないか。
県民が日々、事故への不安を募らせているというのに、沖縄防衛局は事故発生当日に米軍から落下物の情報を受けていながら、公表しなかった。配備に反対する県民のさらなる反発を恐れたのかもしれないが、極めて遺憾だ。
2日に来県した安倍晋三首相は、仲井真弘多知事に「住民生活への影響や不安の払拭(ふっしょく)に意を尽くしたい」と述べたが、では今回の防衛局の対応は何なのか。
同局から連絡を受けていた県と宜野湾市も6日まで公表していなかった。これも理解に苦しむ。地元の自治体が事故の情報開示に消極姿勢では配備反対の説得力を欠く。オスプレイ情報は県民の大きな関心事であり、迅速な公表に万全を尽くしてほしい。
空軍のCV22と合わせたオスプレイの墜落などの重大事故は1991年からこれまでに9件起きている。今回の落下事故は、重大事故が「対岸の火事」でないことを示している。
これ以上、事故があってはならない。安倍首相は今こそ、オスプレイ配備撤回と普天間飛行場の即時閉鎖を決断する時だ。日米首脳会談では、オバマ大統領に「県民の生命と安全を守る」ときっぱり伝えてもらいたい。
琉球新報