「中城御殿」一足お先に復元
細部にこだわった中城御殿の模型を制作した
(右から)比嘉さん、奥本さん、鍬野さん、與古田さん
=21日、沖縄市・沖縄職業能力開発大学校
沖縄職業能力開発大学校(沖縄市)の生徒4人がこのほど、
沖縄戦で焼失し、県が復元計画を進める「中城御殿」の模型制作に挑み、100分の1サイズの模型を完成させた。
資料が不足する中、米軍の航空写真や同時代の建物を参考に試行錯誤を重ねること10カ月。
赤瓦が複雑に連なる建物群を再現させた。
4人は「徹夜続きの作業だったが、予想以上の出来。達成感でいっぱい」と喜んでいる。
(新崎哲史)
中城御殿は、首里城の龍潭向かい、旧県立博物館跡にあった木造建築物で、琉球国王の世継ぎが居住していた。2001年以降、復元に必要な資料が相次いで見つかったことから県は15年度着工、21年度完成の復元計画を進めている。
模型制作に挑んだのは、いずれも20歳で、住居環境科の與古田正悟さん、鍬野樺蓮(かれん)さん、比嘉聖さん、奥本和希さん。首里城公園管理センターなどから航空写真や図面、御殿の写真のデータをもらい、「平面」と「立面」、瓦屋根の形状を図面化した「屋根伏」の各図面を製作した。
しかし、当時の図面と航空写真のデータを合わせると、瓦屋根の寸法のズレが多発。詳しく調べると、二十数棟に上る御殿の建物の多くで、当時主流だった屋根の傾きと違った建築がされていたことが分かった。
手作業で屋根の角度修正を繰り返し、高さや形が異なる赤瓦群を再現。建物の窓などは0・3ミリの細かいカットで、伝統建築の細部を徹底的に表現した。
模型は今月6日に完成。チームをまとめた與古田さんは「壁を乗り越えるたびに知識を得られた。みんなに感謝」、屋根を担当した鍬野さんは「資料不足を乗り越える判断力、分析力がついた」と振り返った。
4人は4月、建築現場監督を目指し、同大学校応用課程に進学する。模型について「苦労して作ったので、多くの人に見てほしい」と展示先を探している。
沖縄タイムス