被災地と沖縄つなぐ 那覇に支援拠点
東日本大震災からもうすぐ2年。被災地支援に取り組む県出身の若者や専門家ら3人がタッグを組み、10日に那覇市内に震災の支援拠点を開く。名前は「東北・沖縄つながる会議(仮)」。被災地の現状を発信し、沖縄でできることを県民と共に考える場を生み出しながら、沖縄と被災地をつなぐ。(與那覇里子)
支援拠点では主に(1)県内で支援する団体情報の一元化(2)支援者への支援(3)県民の防災意識の向上-に取り組む。メンバーの一人で支援を続ける沖縄大地域研究所の稲垣暁特別研究員らの経験と知識、人脈を活用し、被災地と沖縄のパイプ役を果たしていく考え。
石垣市出身で被災地を支援するNPO法人理事の高田睦史(ちかし)さん(26)もメンバーの一人。震災後、勤めていた都内の飲料メーカーを辞め、岩手県大槌町で仮設住宅を戸別訪問するなど支援してきた。1月に沖縄へ戻った後も電話相談員などを続けている。
高田さんによると、被災地では独居男性が引きこもりがちで、夜になると死にたいと話す人もいるという。支援者の中には心を病む人もおり、「沖縄に被災地の現状が届いていない」と指摘。「正しい情報を伝え、物資以外の支援の仕方を提案していきたい」と人とのつながりを大切にした「文通」など、遠い沖縄で可能な支援も進める予定だ。
高田さんと交流サイトでつながり、那覇市でNPO運営に携わる今木ともこさん(36)も開設準備に奔走する。仙台市出身で実家も被災した。「震災後、古里に何もできなかった」と無力感に陥ったが、2年がたち、心の整理がついた。
「特にアレルギー疾患のある少数派の人たちが震災で困る。災害時に対応できるようNPOの連携を強化したい」と意気込む。
10日午後2時から拠点となる那覇市安里の「コミュニティカフェOrigin」で高田さんが岩手での活動を報告する。被災地の支援者とインターネットテレビ電話で交流し、東北の食材を使った料理を囲む懇親会も企画している。
琉球新報