「御絵図」市文化財に指定 人間国宝の故・鎌倉氏が寄贈
琉球王府などに献納する貢納布を織るための図案「御絵図(みえず)」(石垣市立八重山博物館収蔵)が石垣市の文化財(工芸の部)に指定され、27日午後、市教育委員会で指定書交付式が行われた。市指定文化財は78件となった。「御絵図」は、国の重要無形文化財「型絵染」保持者(人間国宝)で石垣市名誉市民の故・鎌倉芳太郎氏(香川県出身)から1978年に八重山博物館に寄贈された。
大正から昭和にかけて、美術工芸の調査で沖縄を訪れた際に収集したもので、八重山上布絵図や伊江王子御免銀御絵図など46点からなるもの。
王府に献納するために、仕上がった織物と照らし合わせ、模様などを検査する役目も担っていたとみられている。
御絵図の厳しい管理のもと、困難な技術を要求される面もあったが、結果的に沖縄の織物文化の向上につながり、八重山のみならず、沖縄の王府時代の御用布を知るうえで貴重な資料となっている。
2007年に指定文化財の諮問。研究・調査などを行い、13年3月21日の教育委員会3月定例会で承認。同22日に石垣市指定文化財として公示された。
指定書を交付した玉津博克教育長は「時間はかかったが、石垣市の文化財に指定できてうれしい。今後もすばらしい研究につなげていってほしい」と述べた。
指定書を受け取った同博物館の宮良信世館長は「御絵図の保存・管理を徹底し、皆さんに公開できる環境づくりを整えていきたい」と話した。
八重山毎日新聞