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 第21回やまなし文学賞の美里敏則さん(宮古島)

2013年3月29日 - スタッフ公式
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創作意欲わく 第21回やまなし文学賞の美里敏則さん null
【那覇支局】20万人余の尊い命を奪った沖縄戦。 心の傷を抱えながら生きる人々の姿を描いた小説 「探骨 (たんこつ)」 が、 日本文学の振興を目的とした第21回やまなし文学賞を受賞した。 「知らせを受けた時は半信半疑だった。 正直、 びっくりした」 と笑った。
 久松小学校・中学校、 宮古高校、 琉球大学を卒業後、 1974年に県に入庁し、 主に土木畑を歩んだ。 宅地造成工事の現場などから見つかった、 身元確認ができずに引き取り手がいない遺骨の存在に心を痛め、 「身内の死んだ場所が分かっていても、 もろもろの事情で収骨できない状況がある。 そんないら立ちと悲しみを書いてみたい」 と筆を執った。
 受賞作は終戦から50数年後の沖縄が舞台。 戦時中に母親を亡くした男性が、 形見の前歯を手掛かりに遺骨を探し続ける物語。
戦争の傷痕を心に秘める主人公の前向きで、 ひたむきな姿を描いている。 「人物描写をはじめ行動と感情表現が結びつき、 現実感に根差している」 などと評価された。
 手掛ける小説は家族の絆や親子の愛情をテーマに、 リアリティーを追求した作品にこだわっている。
過去には沖縄海洋国際博覧会後の社会情勢を描いた 「ツル婆さんの場合」 が新沖縄文学賞の佳作に入ったほか、 08年に出品した 「ペダルを踏み込んで」 が同文学賞を受賞している。
 現在は次回作の発表に向け構想を練っている最中。
「 『探骨』 を含めた3部作を完結させたい。
あとの2作はまだ下書きの段階。 これから取材も必要で資料も取り寄せないといけない。 完成の見通しは立っていないが、 早く文字にしたい」 と創作意欲を新たにした。
  宮古新報

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