全国初、9メートル擁壁を開発
ゴールコン社の技術で施行された擁壁。
コンクリートブロックの積み上げでなだらかな曲線を
描くこともできる=長崎県島原市(同社提供)
擁壁開発のゴールコン(宜野湾市、大城保一社長)は28日までに、自社で研究・開発したコンクリートブロック積みの擁壁が国土交通大臣の認定を受けた。
宅地造成で高さ9メートルまでの安全性と性能が、法律で定められた鉄筋コンクリート擁壁同等と認められた。
沖縄総合事務局によると、積み上げ方式による擁壁は同社を含めて5メートルまでの認定例があるが、9メートルは全国でも初めて。今夏にも製造工場の認定を得て、技術を提供している全国の約25社で販売・施工に入る。
同社が手掛ける擁壁のコンクリートブロックは、高さ50センチ、幅125センチ。地面に擁壁の基礎となるコンクリートを打ち込み、鉄筋を突出させ、ブロックの空洞に通しながら積み上げる。空洞にコンクリートを流し込んで鉄筋とブロックを一体化させることで、強度を確保する仕組み。
大きなコンクリートの板を敷設する工法に比べ、狭い空間でもブロックの運搬・擁壁の施工ができるほか、角度をつけてなだらかな曲線を描くこともできる。一枚板の擁壁は5メートルを超えるとトラックでの運搬が難しくなる。
積み上げ式なら結果的に擁壁を高くできるほか、工期の短縮にもつながるという。
宅地造成によって、崖崩れや土砂流出などの災害が発生する恐れがある場所は、宅地造成等規制法に基づいて都道府県知事が「規制区域」に指定。ゴールコン社の擁壁は、大臣認定を受けて制限区域内の宅地造成でも高さ9メートル以下で施工できるようになった。
県内に規制区域はないが、自治体などからは認定擁壁を求められる傾向にあり、近く県内2カ所で5メートルを超える宅地造成の擁壁を施工する。
宮城県内で施工された同社の擁壁はすべて、東日本大震災に伴う震度6強の揺れでもずれが生じていなかったといい、大城社長は「震災から2年が経過したが、復興・復旧にはまだ時間が必要。ゴールコン擁壁が安全で安心なまちづくりの一助になることを願っている」と話した。
沖縄タイムス