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映画「旅立ちの島唄」彩花、薫に聞く(沖縄)

2013年4月24日 - スタッフ公式
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映画「旅立ちの島唄」三吉彩花、小林薫に聞く
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映画を振り返り、役づくりについて語る俳優の小林薫
=那覇市・タイムスホール
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南大東島での撮影を振り返る主演の三吉彩花(左)
と吉田康弘監督=那覇市・桜坂劇場
 南大東島で生まれ育った少女・優奈を主人公にした映画「旅立ちの島唄~十五の春」が全国に先駆け、27日から那覇市の桜坂劇場とリウボウホールで公開される。公開を前に15日、吉田康弘監督と主演の三吉彩花、17日に父親役の小林薫に、撮影のエピソードや映画の見どころなどを聞いた。
 (聞き手・玉城淳)
吉田康弘監督 主演の三吉彩花に聞く
離島に生きる 喜びと苦しみ

 -南大東島の印象は。
 三吉 すごく開放感がある島という感じ。私はもともと自然があふれているところが好き。だから南大東に初めて行ったときは、冒険のしがいがありそうだなと(笑)。鍾乳洞などに行き、島を知れば知るほど新しい魅力を発見しました。自然の美しさもそうですが、島のみんなが一つの家族っぽくて団結力があるところもいいなと思いましたね。
 -島の子供たちとの雰囲気がとても自然だった。
 吉田 実はロケに入る前にも一度島に行き、年下の子たちと一緒に遊んでもらった。彼女は「仲里優奈です」と自己紹介して過ごした。今でも小さい子たちは、三吉彩花じゃなくて、彼女のことを「優奈ねえちゃん」と思っているはず。
 三吉 みんなと、かくれんぼや鬼ごっこ、缶蹴りとかですごくたくさん遊びました。ロケの時も、島の子たちと同じようにTシャツと短パンで過ごしました。だから「海水プール」のシーンでは、周りの子たちは本当に普通に遊んでいて、素の雰囲気で撮影できました。
 吉田 ラストの船のシーンでは、本当にこれで優奈は島から出て、帰ってこないって思わせた。そうするとやっぱり芝居というより、さらにリアルにやってくれた。
 -別れの歌「アバヨーイ」では三線にも挑戦した。
 三吉 撮影2カ月前から練習を始めましたが、最初は楽譜も読めないし、歌詞を理解するのも大変で難しかった。でも自分的にはやりきったと思います。歌のシーンでは大竹しのぶさんとか小林薫さんとかボロジノ娘の子供たちを見ながら、自分の家族とかいろんな事を考えちゃいました。ちっちゃい子は泣いたりして、私も帰りたくないなあって思いました。
 -ロケで苦労したのは。 
吉田 1番は天気。予報通りにいかないことが多く、臨機応変な現場になった。島の人たちがすぐ対応してくれて、ずいぶん助けられた。自分は沖縄らしい風景ではなく、そこで生きる人々の顔をできるだけ多く撮る事をテーマにしていた。だから個々のシーンの意味を島の皆さんに可能な限り説明した。自分がこの場面でどんな表情をするのか、みんな分かってくれました。そんな島の皆さんをぜひ見てほしい。
 -最後に映画のPRを。
 吉田 離島で生きる喜びと苦しみを描きました。毎年繰り返される別れは悲しいけれど、子供はたくましく出ていく。離島だけじゃなく、家族と離れている人が映画から勇気をもらえるよう、エールを込めて作った。
 三吉 一人でも多くの人に見てもらって、何か一つでも感じ取って、得るものがあればうれしい。初主演の映画で、これまで知らなかった離島の現実を知った。学ぶ事の多い映画でした。
父親役の小林薫
前途祝福する 晴れやかさも
 -娘との別れや離れて暮らす家族の現実を、じっと受け止める寡黙な父親の役でしたね。
 小林 今回は特に演技プランなどを考えず、景色に溶け込んで、島になじむよう心掛けた。監督と相談して役づくりをするというのはなくて。何か役をつくろうとか、演じようという気配は消して撮影に臨みました。

 -印象に残っているシーンは?

 小林 ボロジノ娘の子供たちがコンサートに向けて練習しているところに、父親の僕がお菓子を差し入れるシーンかな。そこで優奈が幼かったころの写真を見せられるんです。
僕の子供でもないのに、「今は15歳で、大きくなったけど、2歳の時は熱を出して大変だったなあ。4歳ごろはちょっとおませになって、小学校の運動会も楽しかった」なんて、いろんな思い出が巡ったりするのではと想像した。小さい時の光景が父親の頭にばーっと浮かぶんじゃないかってね。それで演技しながら、割とウルウルしちゃったんですよ。
 -この映画をどんな人に勧めたいですか。
 小林 別れは悲しいが、吉田監督も、それで終わらせようとは思っていない映画。悲しいけれど、優しさに包まれている。主人公の前途を祝福する内容になっている。自分と自分の家族を思いながら見るとジンと胸に響くと思う。一方で、ちょっと晴れやかさもある。そこがこの映画のいいところだと思うんですよね。
  沖縄タイムス

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