メニュー

「野菜屋は畑にいる」客は鉦で合図(OKINAWA)

2013年5月10日 - スタッフ公式
LINEで送る
Pocket

「野菜屋は畑にいる」客は鉦で合図
null
軒先に「鉦」をつるすことを思いついた具志堅光寛さん(左)
と息子の悟さん=西原町池田の「野菜屋」
 【西原】「畑にいます。呼んで! 下さい!」-。
町池田にあるテント小屋の通称「野菜屋」に、直径約60センチの金属製たらいがつるされている。ゴム製ハンマーでたたくと、ハーリー鉦(がね)に負けないほどの音が鳴る。
それを聞きつけて主人の具志堅悟さん(46)が畑から駆けてくる。「鉦」が置かれて約3年。具志堅さんの真心こもった野菜を求め、きょうも多くの客が「カーン」と打ち鳴らす。
(平島夏実)
 「初めのころ、お客さんは恥ずかしがってたたいてくれませんでした」
 具志堅さんは振り返る。収穫や水やりでテントを離れていると、大声で「すいません」と呼ばれることも多かった。
それでも、「鉦」の音は約1980平方メートルある畑の隅々まで響く。一打の効果にだんだん気づいてもらえたという。
 提案したのは悟さんが「面白い人」と慕う父光寛さん(68)。「鉦」はもともと、祖母具志堅ツルさん(97)がごみ焼き皿として庭先で使っていた。それをもらい受けて代用したというから、いわば先祖伝来の品だ。絶妙なサイズのハンマーは「どっかから持ってきた」といたずらっぽく笑う。
 野菜屋の奧には小波津川がチョロチョロ流れる。川を越えれば具志堅家が3代守ってきた畑が広がる。つやのあるミニトマトは鈴なり。ドラゴンフルーツの棚は台風を耐え抜く。ネギは天を突くように伸びる。どれもほぼ無農薬で育つため、客足が絶えない。まさに“商売繁鉦”だ。
  沖縄タイムス

LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です