交通事故で4羽死亡、ハイペースの増加懸念
防鳥用のテグスに絡まり動けなくなっていたところを保護され、体力が回復したカンムリワシ幼鳥1羽の放鳥が13日午後、大本小学校(石垣俊子校長、児童14人)のグラウンドで行われた。
放鳥は今年3件目。カンムリワシの保護件数(石垣島)は昨年1年間で11件だが、今年は4月末日ですでに10件とハイペースの増加傾向を見せている。
カンムリワシの幼鳥は、3月31日に石垣市大浜三和の点滅信号付近の田畑で防鳥用のテグスに絡まっている所を発見された。平田家畜病院(県野生動物救護獣医師)に搬送され治療後、4月1日に石垣やいま村のケージ(県傷病野生鳥獣保護飼育ボランティア)に移され、リハビリを行い体力が回復したことから放鳥した。
放鳥では、大本小の児童らがカンムリワシに「よんな」と名付け、「元気に大きくなって」「頑張れ」と声をかけ、全員が見守る中、勢いよく付近の森へと飛び去った。
初めて放鳥に立ち合ったという児童会長の大江ひかるさん(6年)は「とても貴重な体験になった。初めて近くで見る幼鳥はとてもかわいかった」と話した。
環境省石垣自然保護官事務所によると、今年に入って石垣島で死亡が確認されたカンムリワシは6羽。うち4羽は交通事故が原因とみられている。事故発生件数は、昨年1年間で7件、今年はすでに5件となっている。カンムリワシがエサとなるカエルなどを求めて道路上に降り立ち、交通事故に遭う場合があるという。
同事務所の本田師久自然保護官は「車やバイクを運転する際は、速度や路上の野生動物の動きに注意してほしい。また、農家の皆さんには防鳥用ネットに蛍光テープやリボンを付けるなど、鳥がネットに近づかないよう協力をお願いしたい」と述べた。
今回放鳥されたカンムリワシには個体数調査のため、左足に「H」の文字が書かれた緑色のカラーリングが装着されており、カンムリワシ・リサーチではカラーリングを付けたカンムリワシの目撃情報を求めている。
詳細はホームページ(http://kanmuriwasi.web.fc2.com/)
八重山毎日新聞