狩俣小児童栽培の野菜、マッチャーズで販売
ゴーヤーやピーマンなどを収穫した狩俣小の児童たち
=13日、 同校レインボー農園
市立狩俣小学校が体験学習として取り組む 「狩俣小レインボー農園」 で栽培した野菜が、 共同購買店狩俣マッチャーズで販売されている。
「自分たちの子どもが作った野菜」 と父母やお年寄りから好評ですぐに売り切れてしまうという。 農園はマッチャーズの提案と住民の協力で運営されており、 身近な教育資源を生かした学習を実践。 学校と地域が連携した体験学習を通して故郷を思う心を育もうとしている。
農園は地元葉たばこ農家の砂川好勝さんの育苗ハウスを借りて行っている。
2月に苗を育て終えると台風シーズンまではビニールを張ったまま空いており、 マッチャーズ社長の池間等志さんが有効に活用しようと提案。 同社は地産地消を進めたいと考えていたが狩俣地区は野菜農家が少なく、 「最近は農家の子どもでも野菜を作る機会が減っている。 野菜作りに親しんでもらいたい」 と昨年から開始した。
学校から歩いて数分の2・5㌃のハウス内には一抱えもある大きな鉢がいくつも並び、 ゴーヤーやピーマン、 ナス、 ミニトマトなどを栽培している。
育苗用のため地面を耕して植えれば整地して戻さねばならず、 大型鉢での栽培にした。 苗や肥料、 資材などはマッチャーズと農協職員の島尻博之さんが準備。 重機やダンプを持つ住民が運搬を手伝ってくれた。
農園活動は2月中旬から5月末まで。 朝7時45分頃から、 水かけや収穫などを行っている。
池間さんや島尻さんが栽培を指導しており、 13日はゴーヤーの交配について教えていた。 なぜ受粉するのか、 どうして病気は出るのか、 また葉についた幼虫がどんな成虫になるのか、 児童たちはハウスの中でいろいろな疑問を抱く。
池間さんは 「それが理科など他の学習につながれば」 と期待する。
マッチャーズに出荷した佐渡山隼人くん (5年) と奥浜伸太郎くん (4年) は 「どのくらい大きくなれば収穫できるか見分けるのが難しい。
ゴーヤーとヘチマは同じ蔓植物なのに花の大きさや育つ早さが全然違う。 受粉しないと実が育たないことも分かった。 収穫するととても嬉しい気持ちになる」 と笑顔を見せた。
同校では野菜作りから収穫や働く喜び、 食の安全や地産地消、 流通の仕組みを考える学習として実施。 地域の教育資源を活用して 「豊かな学びにつなげる」 ことが目的だという。
比嘉豊樹教頭は 「地元の人の背中を見ながら学ぶことで職業観の育成になる。 地域が学校を支えてくれる。 故郷を大切にする子どもになってほしい」 と話した。
「狩俣自治会と学校の関わりは深い。 みんな自分の子どもではなくても 『狩俣の子ども』 と思っている」 と池間さん。
マッチャーズは過疎・高齢化で購買事業の拡大が難しいことから、 幅広い事業展開を行うため4年前に株式会社となった。
「地域に根差した企業であり、 地域のため何ができるか。 こうした体験をした子どもの中から1人でも2人でも将来狩俣に戻ってきてくれれば」 と願っている。
宮古新報