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難聴に負けない 三線で新人賞(沖縄)

2013年6月19日 - スタッフ公式
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難聴に負けない 熱き三線で新人賞
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「一つずつ力をつけていきたい」と語り、力強い三線と
歌声を響かせる伊野波盛康さん
=沖縄タイムス北部支社
 【本部】幼いころ患った中耳炎の影響で、右耳の聴力がほとんどない伊野波盛康さん(37)=町谷茶=が、ことしのタイムス芸能選考会で三線新人賞に入賞した。伊野波さんは「ようやく入賞でき、これからがスタート」と喜びつつ、さらなる修練に意欲を燃やしている。
(浦崎直己)
 伊野波さんは6歳のとき、両耳に中耳炎を患い、一時期は音がほとんど聞こえなくなった。小学校高学年のとき、左耳の聴力は普通のレベルまで回復したものの右耳は回復せず、音がかすかに聞こえる程度の難聴となった。音の鳴る方向や音程などの把握が苦手で、音楽は大嫌いな子どもだったという。
 成人して東京で就職したころ、医者からリハビリも兼ねて音楽を勧められた。「どうせなら身近なものを」と父親や祖父がよく弾いていた三線を手にした。
独学で練習を重ね、東京で三線好きの友人もできた。
徐々に三線にのめり込み、5年前に沖縄に帰ったのを機に「本格的に学ぼう」と決意。4年前に今帰仁村の野村流古典音楽保存会上間政志研究所に入り、基礎から学び直した。
 「古典では三線だけでなく、歌のうまさも求められる」。上間さんの指導を受けながら、録音した自分と上間さんの歌を何度も聞き比べたり、バケツをかぶって発声練習するなど、猛練習を重ねた。
今回3度目の挑戦で新人賞に合格した。8年前に他界した父親には直接、入賞の報告はできなかったが、母親や親戚、友人たちが入賞を喜んだ。
 課題曲としてみっちり弾き続けた「伊野波節」。「課題曲として苦しめられ、一番弾いた曲。名前も一緒なので、今では愛着がある」と笑う。「三線をやって、聴力は変わらないけど、耳の感覚はよくなった。人の輪も広がり、応援してくれる人もたくさんいる。さらに上達し、できるなら笛や太鼓などにも挑戦してみたい」と意気込んだ。
   沖縄タイムス

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