[フランス]アダン筆の歴史紹介 吉田さん「後世に残したい」
アダン筆の歴史などを講演する吉田元さん(右から2人目)
=フランス・パリ日本文化会館
【久高泰子通信員】
パリ日本文化会館の「日本文化特別講座」で6月19日、嘉手納町で筆工房「琉球大発見」を営む吉田元さん(60)が特別講師として招かれ、「アダン筆の世界」と題する2時間の講演をした。同事業は、パリでも著名な書道家として活躍している今井陽子さんの尽力で実現した。
吉田さんは、アダン筆が使われた200年前の琉球王朝時代や沖縄を訪れた仏人、名護に残るオランダ墓の話のほか、バジル・ホールが「武器を所有しない琉球国」でナポレオンを驚かせた有名な逸話にも触れ、仏国と沖縄の修好関係の深さを説明した。
日本の書道と筆文化について「雨月物語」の作者上田秋成も使用していた「幻のアダン筆」の歴史と再生した経緯も説明。参加者へ筆作りワークショップとアダン筆を楽しむ書道を体験させた。
筆の材料や製作方法、墨持ち、穂先、使い方など、アダン筆の特徴と毛筆の違いを説明すると、「アダン筆は利点が多いのに、なぜあまり普及していないのか」「アダンでほかにどのような製品が作成されているか」などの質問が飛んだ。
途絶えたアダン文化を「後世に残したい」と願う吉田さんは「講師として、アダンの筆と共に沖縄の文化、歴史を紹介することができ、うれしい」と語った。
沖縄タイムス