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海水面最高2・7㍍上昇 (西表島・沖縄)

2013年8月12日 - スタッフ公式
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海水面最高2・7㍍上昇 西表島北岸
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西表島北岸の洞窟内に付着しているカキの化石
(小菅丈治氏提供) 海食洞のカキ殻分析で判明
 西表島北岸の洞窟(海食洞)の内壁に付着していたカキの殻(半化石)を分析した結果、海水面が現在より約2・7㍍から1・3㍍ほど高かったことが分かった。
9日午後、カキを発見した県立石垣青少年の家の小菅丈治事務長(49)が市役所記者クラブ室で発表した。同様の手法を使って過去の海水面の高さを推定した研究は日本では初めて。
 小菅事務長は2009年5月、洞窟内でヒヅメガキとクロヘリガキの殻が多数付着しているのを発見。
ヒヅメガキが現在の海面と比べて約2・7㍍から1・3㍍、クロヘリガキが約1・3㍍と高い位置にあり、現生のカキではないことを確認したという。
 小菅事務長はフィリピンで海水面の高さの研究を行っている兵庫県立大学環境科学研究所の前田保夫客員教授と、東京大学大気海洋研究所の横山祐典准教授に共同研究を呼びかけ、同年11月に調査が実現した。
 人骨の年代鑑定にも活用される放射性炭素年代法で殻を分析した結果、ヒヅメガキの三つの試料はそれぞれ約3500年前、約2000年前、約1000~1500年前、クロヘリガキは約1000~1500年前と判明。
 カキが満潮時に海中の懸濁物をこし取って食べる特性があることからも、過去の海水面が現在よりも約2・7㍍から1・3㍍程度高かったことが証明された。
 小菅事務長は「もともとカキが生息し、風化から守られる環境だったからこそ、残っていたと思う」と振り返り、「地球温暖化による海水面上昇などについて、関連した情報を充実させる上で意義がある」と述べた。
 また、化石資料は採取すると減ってしまうことを懸念し「今後天然記念物に指定するなどして保全していく必要性があると思う」と述べた。研究成果は来年にも地質関係の学術雑誌に論文として発表される予定。
  八重山毎日新聞

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