耐熱琉球ガラス、用途拡大 本部町発、需要も増
耐熱型の琉球ガラスを開発したやんばるガラス工芸館
の山田徹さん(左)と新垣恵正社長=本部町
熱に弱くひびが入りやすいとされていた琉球ガラスに、
耐熱用としての用途が広がっている。
本部町のやんばるガラス工芸館(新垣恵正社長)が県内で初めて開発と販売を手掛け、近年はホテルでの利用も増える。
こだわり商品に県内のファンも増加傾向で、利用者の要望に応える形で毎年、2~3種類の新商品の開発に取り組む。
泡盛のお湯割りや料理に使えるだけでなく、食洗機の使用も可能で実用的なため、県特産品としてさらなる販路拡大に期待がかかる。
「大好きな熱いコーヒーを琉球ガラスで飲みたい」。その思いで取り組んだのは、やんばるガラス工芸館の従業員で開発担当の山田徹さん(57)。1980年代後半から40種類以上あるガラス原料の配合の研究を重ね、約10年を要して耐熱用ガラス原料を開発した。
耐熱ガラスの材質は、通常よりも固まる時間が早いため製作を手掛ける職人には迅速な作業が求められた。開発当初、ガラス職人から「こんなのは作れない」との声も飛んだという。県工業技術センターの協力と、開発者と職人の工夫が重なり2001年に完成し販売を始めた。
耐熱琉球ガラスは100度まで対応し、電子レンジで加熱してもひびは入らない。現在、同社の300種類ある琉球ガラス製品のうち、耐熱製品は50種類ほど。ホテルや飲食店からの需要は多く、名護市のザ・ブセナテラスのメーンダイニング「ファヌアン」でも約40点取り扱う。フランス人の元総料理長の意向で、デザインを工房と共同開発した。レストラン利用客からの問い合わせも多く、ホテル内でも販売している。
新垣社長は「地元のホテルなどを中心に、実用的に使ってもらえたらうれしい」と話す。現在販売している色は青・緑・ピンク系統のみで、赤・黄色のガラスは現在、研究中だ。「どんな色でも作れるようにしたい」と話す山田さんは、10年かけた思いを初心として胸に秘めながら、今後も研究を重ね看板商品として確立させていく。
(阪口彩子)
琉球新報