県漁業基金、魚競り値サイト開設 市場選択容易に
市況情報サイト「沖縄海人魚市場」の仕組み
県漁業振興基金(糸満盛健理事長)はこのほど、市況情報公表サイト「沖縄海人魚市場」を開設した。
泊や名護、糸満の各市場で取引された魚種ごとの競り値や水揚げ量などを掲載している。漁業者はサイトを頼りに最も高値で取引される市場を選びやすくなるほか、市場に不足している魚種を容易に知ることができ、漁業収入の増加が期待できる。
漁業情報サービスセンター(東京都)によると、各地の市場情報を一元化したサイトを地方で構築するのは全国でも珍しいという。(仲田佳史)
各市場の取引額は通常、競り終了後にまとめて、市場に張り出される。各漁業者は自らが水揚げした金額を確認し、各地の水揚げ情報を電話やファクスなどで入手するしかなかった。
一方、魚を仕入れる仲買人は、県内で最も取引規模が大きい泊市場での競り値を参考に、ほかの市場での競り値を決めている。午前6時の泊市場を皮切りに、同7時から9時までの間に各地で開かれる魚を競り落とすため、いち早く泊市場の競り値を知る必要があるため、各仲買人が泊市場からファクスで連絡を取り合っている。
サイトでは、漁業者が携帯電話のメールサービスに登録すれば自らの水揚げ金額や平均単価が配信されるようになるほか、サイトから高値取引の魚種を知ることができる。仲買人は今後水揚げ予定の魚種や水揚げ量などの情報も入手できるため仕入れ計画を立てて、小売店に売り込みやすくなる利点もある。水揚げと仕入れの需給バランスの向上につながり、「もうかる漁業への転換」(同基金)が期待できるとしている。
今月中に与那城町漁協の市場情報も取り扱うほか、10月には八重山漁協も加わる予定。
順次、各漁協に参加を呼び掛け取り扱いを増やしていく。
今後は魚の写真を掲載するほか、魚料理の作り方を紹介するなどの機能を充実し、漁業関係者以外の閲覧も増やしていく。
サイトは同基金の2012年度「市況情報発信による魚価の安定向上対策事業」(約510万円)として、沖縄経営システム(那覇市、稲福学代表)が開発した。
同基金の又吉俊事務局長は「漁業者だけでなく一般に情報を公開していく。市況だけでなくあらゆる情報が見られるサイトにしていきたい」と話した。
沖縄タイムス