「新殿堂」に期待感 久茂地小跡に新那覇市民会館
久茂地小跡地が新市民会館の建設地に決まり、今後の保存が課題となる那覇市民会館=8月30日、那覇市寄宮
那覇市はこのほど、検討を進めていた新那覇市民会館の建設地を久茂地小学校跡地に決定した。
募集した市民意見を踏まえた上での決定で、2018年には現市
民会館(座席1372)より大規模な1800席程度の大ホールが落成予定で「新たな文化の殿堂」として期待が高まる。
一方、現市民会館の建築的価値から保存を訴える動きや久茂地小の存続を訴え続ける声などもあり、行政の丁寧な説明が求められる。
市は久茂地小跡地のほかに現市民会館敷地(寄宮)と新都心仮庁舎跡地(上之屋)の三つを候補地として、6月下旬から約1カ月、市民意見を募集した。
11人から20件の意見が提出された。久茂地小跡地については「駐車場が不足する」「パレット市民劇場に近いので不適」などの意見もあった。市は「モノレールの利用できる立地で、駐車場整備は公共交通利用の観点から必要最小限とする」ことや「パレットの中ホールと新市民会館大ホールは機能が異なる」と説明した。
また「現市民会館を残してほしい」との意見については「今後検討が必要」と答えている。
「学校統合は新市民会館建設のためだ。疑惑を払拭(ふっしょく)してやり直すべきだ」などの意見もあった。市担当者は「とにかく反対という意見もあり、市の案の変更を検討しなければならない意見は見当たらなかった」と話した。
市文化振興課は9月議会に補正予算を計上し、久茂地小周辺地域の影響調査に取り組み、具体的な設計に入る考えだ。
現会館の歴史的価値から保存を訴える「那覇市民会館を考える会」の根路銘安史代表は「現会館の建て替え案よりは久茂地小案になって時間がもらえた」と捉える。
市は現市民会館が移転した後に真和志支所や市立中央公民館・図書館、教育研究所などの複合施設の設置を予定している。現在の施設は天井からモルタルがはがれ落ちるなど年間約900万円の修繕費がかかり、存続は難しいとの立場だ。
しかし根路銘代表は「現会館を残しながら、新たな施設へと造り替える方法を検討する余地はある」と主張する。
久茂地小と前島小は14年4月の新校開校へ向けて統合準備協議会を毎月開いている。8月28日の第6回協議会では、久茂地小跡地を新市民会館にするという報道についての議論はなかった。
久茂地小学校を存続させる会の東恩納寛治会長は「学校を存続させたい気持ちに変わりはない。本当に新市民会館ができるのかを見極めたい」と冷静に受け止めている。
久高将光副市長は「地域の理解を得ながら市民の知恵を結集して、市の文化の殿堂となり、沖縄の文化を発信するような施設にしたい」との見解を示した。
琉球新報