「炭酸」製造30年ぶり再開 沖縄バヤリース
炭酸飲料の製造再開を「感無量」と話す製造部の仲里清部長(左)と下地寿幸さん=2日、南城市・沖縄バヤリース
(右)30年ぶりの自社製造で販売を始めた沖縄バヤリースのクリームソーダ「サンサン」(左)1980年代初頭に沖縄バヤリースが自社で製造していたクリームソーダ「サンサン」
沖縄バヤリース(南城市、上間長恒社長)はこのほど、炭酸飲料の製造を30年ぶりに再開した。国外に製造を委託していたロングヒットの炭酸商品が、輸送費の高騰などを受けて昨年9月に休売。
ノウハウがない中から炭酸の自社製造を模索し、休眠していた設備を生かして試行錯誤で改良を重ねた。炭酸の製造中止は瓶商品の売り上げ低迷に伴う工場の合理化がきっかけで、創業以来初の人員整理に至った同社の大転換期だった。
炭酸製造の復活を製造部の仲里清部長(64)は「感無量」と話している。
(粟国雄一郞)
製造再開は、仲里部長が長年懇意にしていた大手飲料メーカーの元工場長と昨年6月に発案。飲料を容器に詰める充(じゅう)填(てん)機の製作から取り掛かり、使われないまま工場内に保管されていた大型のカーボクーラー(炭酸の冷却注入機)をつないで製造を試みた。
ところが、長い配管を伝って飲料が充填機にたどりつくまでに温度が上昇、容器に詰める際に炭酸が吹き出す事態が起きた。配管に改良を加え、最後は小型のカーボクーラーを経由させて温度の上昇を抑えた。
現場で改良を重ねたのは、製造部の下地寿幸さん(30)と津波伸也さん(30)。自社製造の商品は高温で殺菌。80度で容器に詰める果汁飲料やお茶で、3度以下での温度管理が求められる炭酸飲料についてはゼロからのスタートだった。ことしの春からの取り組みで毎日が格闘だったという。
同社が自社製造の第1弾に選んだのは、昨年9月に休売に追い込まれたクリームソーダ。本土復帰前後に人気を博した「ベストソーダ」の味と香りを引き継ぎ、「サンサン」の銘柄で長年親しまれた同社のヒット商品で、自社製造を機に当時のデザインを復刻させた。
炭酸製造の再開について大城あさ子企画課長は「規模は小さいが、新たな商品開発の可能性を持った設備。今後も県産素材を使った新たな商品開発に取り組んでいきたい」としている。
「サンサン」クリームソーダは480ミリリットル入りのペットボトルで140円。発売はココストアで、10月上旬からローソンで店頭に並ぶ。
沖縄タイムス