伝統の舞台脈々と、多良間の「八月踊り」始まる
組踊 「忠臣仲宗根豊見親組」 で踊る
オオガマ (左) ・クイガマ姉妹
=字仲筋の土原御願所
【多良間】旧暦8月8日から三日間にわたって行われる多良間島の伝統行事 「八月踊り」 が12日から始まった。
初日は字仲筋の土原御願所で 「正日 (ショウニツ)」 が行われ、 多彩な衣装を身にまとった住民たちが組踊りや獅子舞、 棒踊り、 狂言などといった様々な演目を披露。
会場には島外からも大勢の観客が詰めかけ、 住民たちの間で脈々と受け継がれてきた伝統の舞台を楽しんだ。 二日目の
13日は字塩川の 「正日」 がピトゥマタ御願所で行われ、 最終日の14日は両字で 「ワカレ」 が演じられる。
字仲筋の 「正日」 は午前10時過ぎから、 塩川の住民を招いて行われた。 地謡を担当する 「ズーニン座」 が奏でる三線や、 太鼓、 ホラ貝の音色に合わせて獅子が荒々しく舞い、 会場の厄を払った。
続いて出演者を紹介する 「総引き」 が行われ、 各座の出演者たちが舞台を練り歩いた。 また、 福禄寿が一座を引き連れて口上を述べ、 世の平穏と繁栄を願った。 続いて端踊り座による古典踊りや狂言座による様々な踊りが演じられた。
組踊 「忠臣仲宗根豊見親組」 は、 仲宗根豊見親率いる宮古軍が与那国の首長・鬼虎を討伐する物語。 城辺砂川の美女姉妹オオガマ・クイガマの活躍で鬼虎を打ち取ると、 会場からは大きな拍手がわき上がった。
姉オオガマ役を務めた嘉味田理恵さん (中3) は、 中学校に入ってから3年間連続で姉妹役を演じた。 「緊張して練習より動きが固かったので、 最終日は思い通りの演技ができるよう頑張りたい」 と話した。
妹のクイガマを演じて2年目の垣花歩実さん (中2) は、 「去年よりは上手く出来たが、 入場する時の 『道行き』 で、 すり足で歩くタイミングは何度やっても難かしい」 と話しながらも、 本番では嘉味田さんと息の合った演技を披露していた。
演目の合間に行われた主催者あいさつで、 仲筋字会の津嘉山正克会長は 「国の文化財に指定されて今回で37回目を迎えた。 こうして毎年盛大に開催できることは、 両字住民をはじめ島外から訪れた多くの皆さんの協力のたまもの。 もうすぐユネスコ文化遺産にも登録される。 今後もご支援をいただきたい」 と述べた。
「八月踊り」 は人頭税制度時、 旧暦7月に税を皆納し、 翌月に 「八月御願」 として島内の各御嶽で祭事を行い、 完納の報告と翌年の五穀豊穣を祈願する際に踊りを奉納していたことが起源とされている。
宮古新報