八重山最古の獅子頭新調 石垣・川平
新調された獅子頭の初めての舞に見入る来場者
=川平公民館
川平に伝わる伝統の獅子頭(左から二つめまで)と
新調した獅子頭(右の二つ)
【石垣】
八重山で最も古い500年の歴史があるとされる石垣市川平の獅子頭がこのほど新調され、26日夜、川平公民館で初披露された。黒い顔と輝く目の獅子が中庭に飛び出すと集まった住民から拍手が起き、「きれいになった」との声が上がった。獅子舞を演じた若者は「新しい頭で伝統を継いでいきたい」と決意を新たにしていた。
川平の獅子頭は400~500年前、村の海岸に漂着した大きな箱に入っていたとされる。獅子頭を見たことのない住民が工夫をこらし、糸芭蕉(ばしょう)で胴体(ウッツ)を作り、獅子舞が始まったという。
その頭は古くなり、昨年の結願祭で引退。集落には獅子頭を作り替えたという記録はなく、今回の新調で「2代目獅子」が誕生した。
獅子頭・ウッツ制作委員会が県工芸士の新城弘志さん(78)に制作を依頼。材料はデイゴで、約10カ月かけて完成した。
獅子頭の披露を前に、同委員会の仲野英則委員長は「伝統ある獅子頭を変えず、復元するように制作してほしいと依頼し、丹精込めて作っていただいた。新たな獅子に川平の無病息災、発展を願っていきたい」とあいさつした。
お披露目の「座見舞い」では笛とドラの音に誘われるように獅子2頭が登場し、周囲を警戒するような動きの舞も。「本舞」では、ムンダニと呼ばれるえさを口にくわえ、前列の子どもたちににらみをきかせた。
舞を見届けた新城さんは「川平の獅子頭は中国がルーツともいわれ、迫力がある。歴史ある獅子頭を手掛けることができて光栄」と話した。
新しい頭で初舞台を踏んだ棒・太鼓・獅子保存会の南風野孝平さん(25)は「新しい頭を大事にして次の世代につないでいきたい」と力を込めていた。川平の獅子舞は10月3日、集落内の群星御嶽で開かれる結願祭で奉納される。
沖縄タイムス