ベトナム訳たけくらべ「日越交流の懸け橋に」
ベトナム語訳の「たけくらべ」を持ち「両国の懸け橋に」
と話すニェンさん=9月、名桜大学
出版された「たけくらべ」と「ベトナム独立・自由・鎮魂詩集
175篇」
【名護】ベトナム出身で名桜大学総合研究所客員研究員のグュェン・ド・アン・ニェンさん(37)がこのほど、樋口一葉の「たけくらべ」ほか3編のベトナム語訳本と「ベトナム独立・自由・鎮魂詩集175篇」の日本語共訳本を出版した。
「たけくらべ」は、日本語の原著からの初のベトナム語訳本。
また、詩集は売り上げの5%が枯れ葉剤被害者に寄付される。ニェンさんは、沖縄の民話の紹介もしており「懸け橋になりたい」と意欲的だ。
これまで樋口一葉の作品は外国語からのベトナム語訳本しかなく、原著からの翻訳本は初。「たけくらべ」「十三夜」「にごりえ」「闇桜」の4作品を収め、ベトナムで出版した。
約1年かけて翻訳したというニェンさんは「日本の景色や四季を伝えるため、実際に訪れ自分の五感で体験した」と話し、日本を代表する一葉の作品に「人間として女性として共感する部分もたくさんあった。ベトナム語にはない言葉や表現をどう伝えるか、苦労しました」と振り返った。
詩集は日本との国交樹立40周年を記念したもので、大阪大の研究者との共訳。ベトナムの詩人105人、日本の詩人70人の詩を日本語、ベトナム語、英語で収めた。出版したコールサック社によると、売り上げの一部が枯れ葉剤被害者に寄付されるといい、ニェンさんは「多くの方に購入してもらいたい」と呼び掛ける。
7月からは、沖縄の民話をベトナムの子ども向け週刊誌に掲載しており「今後も昔話などを紹介しながら双方の懸け橋になりたい」と語った。
沖縄タイムス