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演劇「黄昏」主演 津嘉山正種に聞く(沖縄)

2013年10月22日 - スタッフ公式
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演劇「黄昏」主演 津嘉山正種に聞く
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沖縄での舞台「黄昏」に向けて意気込みを語る津嘉山正種
=那覇市久茂地・沖縄タイムス社
劇団青年座の演劇「黄昏」公演(主催・沖縄タイムス社、同劇団)が11月6、7の両日、浦添市の国立劇場おきなわである。
県出身で俳優の津嘉山正種が、主人公ノーマンを演じる。
「老い」や「死」を繊細に表現しながら家族愛を描いた同作品で、津嘉山は2010年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。全国巡回の千秋楽となる沖縄公演を前に、役への思いや意気込みを聞いた。
 (聞き手=湧田ちひろ)
 -「黄昏」のテーマは
 「全てひっくるめて大きく言うと『人生』。青年期、壮年期を経て老年期にさしかかる、人生の最終章を描いている。残っているのは『死』しかないと考える主人公が、どのように時間を過ごしていくのか。主人公と妻の2人の話を主軸に家族の物語となっている」
 -主人公ノーマンはどのような人物か。
 「ノーマンは元大学教授。いつも生徒に指示をして、厳しい先生だったと思う。逆に命令されることは嫌いで頑固な性格。それが、年を取ってすぐそこに死が迫ると、そのことで頭がいっぱい。暗い状況の中で、ノーマンとは正反対で快活な妻に支えられている」
 -ノーマンを演じるため、心掛けたことは。
 「自分の中にないものは芝居では出せません。自分の中の厳格さ、やらしいところ、とぼけたところ、そういったものを探り出して舞台に引き出す。役というのは10人が演じれば10通りの役ができる。最終的には津嘉山のノーマン。あるがままの自分で、舞台の上で演技をしすぎずに、きちんと呼吸することが重要だ」
 -2010年から演じて、役へのなじみや心境の変化はあるか。
 「今回の再演にあたって台本を読み返すと、3年の間にせりふに実感が持てるようになった。『人生は短い。ぐずぐずしているヒマはない』というせりふがある。私は脳梗塞を患い、そこから立ち直ったが、病気は突然来る。年齢と月日を重ねて、死について語ることも、実感として強くなった。より作品の中身に寄り添ってきたと感じている」
 -作品では、夫婦のあり方も描いている。
 「ノーマンは80歳で妻は10歳年下。ノーマンが陰なら妻は陽で正反対の関係。夫婦とは、辛抱と努力の結果でしかない。互いの価値観の違いなど、全部認め合いながら、否定しては駄目なんだと思う。舞台を見て、長年連れ添った夫婦が『もう少し優しくしてあげないといけないな』など、いろんなことを思いながら客席を後にしてもらえればいいんじゃないかな」
 -沖縄の皆さんにメッセージを。
 「千秋楽は沖縄と決めていた。明日への生きる希望をともす作品になっている。見た人がそれぞれに感じることができる芝居だと思うので、ぜひ劇場で見てもらいたい」
    ◇     ◇    
 「黄昏」は11月6、7日午後6時半開演。入場料は前売5千円、当日5500円。問い合わせは沖縄タイムス社文化事業局、電話098(860)3588。
あらすじ
 元大学教授のノーマン・セイヤー2(津嘉山正種)とその妻エセル(岩倉高子)は、アメリカ北東部の湖畔近くの別荘で夏を過ごしていた。老いと死におびえるノーマン。そこへ8年前に家を出て疎遠だった娘のチェルシー(野々村のん)が恋人ビル(横堀悦夫)と息子を連れて訪れる。
 少年との交流を通して、老夫婦の心が揺れ動いていく。アーネスト・トンプソン作。伊藤大演出。
   沖縄タイムス

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