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元寇船 発見 通説覆す船構造 (沖縄)

2013年10月31日 - スタッフ公式
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元寇船いかり 発見 通説覆す船構造 示唆
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新たな元寇沈没船のいかりの発見について説明する、
琉球大の池田榮史教授
=22日午後、長崎県松浦市
 琉球大の池田榮史教授と長崎県松浦市教育委員会らの合同調査チームは22日、松浦市鷹島(たかしま)沖の海底で、鎌倉時代の元寇時に沈没した元の船のいかりの一部とみられる大きな石と木材を発見した。
これにより、元寇の船が通説よりも複雑である可能性が高まった。池田教授は「発掘から、世界最大の海難事故といわれる元寇の実態を明らかにしたい」と語っている。
(與那覇里子)
 水深約20メートル付近で発見されたいかりは、石の長さ2・5メートル、厚さは約40センチ。木材は一辺の長さが約2メートル。これまで鷹島沖で見つかったいかりのほとんどは、比較的簡単に造れる二つの石の組み合わせで、一つの大きな石を使ったいかりが発見されたのは初めて。
 元が4400隻と多数で来襲したことから、通説では元の船は急造の簡素な造りだったと推測されてきた。しかし、池田教授は今回の発見で「しっかりとした船で来襲していたことが分かった。
絵巻物では分からない事実をもっと解き明かしたい」と話している。
調査実り国史跡指定
 鷹島では、1980年代から海中の馬の骨や木材などが港の工事や漁網で引き揚げられて発見され、調査が始まった。池田教授は科学的な手法が必要と考え、2005年から音波調査、試掘調査などに乗りだした。
 水中調査は1日約60万円かかり、潜水は安全面から1回約30分、1日2回が限度。視界も悪く池田教授は「みそ汁の中を潜っている感じ。命掛けの作業」。それでもチームは、11年に元寇の沈没船の骨組みとなる「竜骨」を初めて発見、12年には竜骨の長さも解明するなど実績を挙げてきた。周辺は同年、「鷹島神崎遺跡」として海底初の国指定史跡に指定された。
 「日本は水中遺跡に関する体制では発展途上」(文化庁文化財部記念物課の担当者)だが、池田教授らの研究を受け、国は水中遺跡の保存や調査の指針を15年度までにまとめる予定という。
 実質的に国内の水中遺跡調査をリードしてきた池田教授。「まるでタイムカプセル探し。物から人の息吹を感じ、歴史のリアルをもたらしたい」と、調査の進展に向け意気込んでいる。
  沖縄タイムス

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