県内最古、8000年前の土器発見 南城
発掘された約8000年前の土器の破片。押引文と
呼ばれる文様が確認できる
【南城】
県立博物館・美術館(安里進館長)は21日、ことし9月からの発掘調査で南城市玉城前川のサキタリ洞遺跡から沖縄最古の土器が発見されたと発表した。同館によると、「押引文(おしびきもん)土器」と呼ばれるもので、放射性炭素年代測定法による分析の結果、約8千年前(縄文時代早期相当)と判明した。
沖縄で土器が未確認だった空白の時期を埋める成果で、安里館長は「港川人と縄文人との間が確実に一歩、つながってきた」と述べ、今後の調査でさらに古い土器が出土する可能性に期待を込めた。
これまでの発掘調査で年代が確認できた県内最古の土器は7千~6千年前だった。県外ではさらに古い土器があるが、沖縄での土器使用が千年さかのぼることになる。土器が見つかった地点より下層も調査中だ。
同館によると、土器は5千年前の土器が見つかった地層の下層から、イノシシの骨などと一緒にまとまって出土。1個分の胴部の破片が約20点見つかった。復元すると直径約30センチの鉢になるという。表面には強弱をつけながら棒状の道具を引いて施したような「押引文」という文様がある。
年代測定は、土器と同じ地層から見つかったカタツムリの殻2点で実施。それぞれ別の研究機関で分析し、同様に8千年前という結果が出た。
2009年に始まったサキタリ洞遺跡の発掘調査では、12年に1万2千年前(旧石器時代)の人骨と石器が出土したことが判明し、同一遺跡からの発見として国内最古の事例となった。
サキタリ洞遺跡は1万8千年前の人骨(港川人)が見つかった港川フィッシャー遺跡から1キロ余の距離。
沖縄タイムス