「宮 古の祭祀」現状や課題テーマに討論
「宮古の祭祀の現状と課題」 のテーマで行われたシンポジウム=狩俣集落センター
宮古伝承文化研究センター (佐渡山安公所長) の第8回講演・シンポジウムが23日、 狩俣集落センターで行われた。
「宮古の祭祀の現状と課題」 をテーマにしたシンポジウムでは狩俣、 池間島、 西原、 佐良浜の祭祀を担うツカサの減少、 担い手がいないことにより途絶えている現状の報告があり、 今後どのように復活させていくかについては 「伝統文化を守るという観点からツカサだけでなく、 自治会全体で継承する方法を考えるべきだ」 などの意見があった。 会場には多くの人が詰めかけ、 熱心に耳を傾けた。
シンポジウムは佐渡山さん、 狩俣恵一さん (沖縄国際大学教授) の司会で、 居駒永幸さん (明治大学教授)、 岡谷公二さん (跡見学園女子大学名誉教授)、 島村恭則さん (関西学院大学教授)、 須藤義人さん (沖縄大学講師)、 渡久山安子さん (西原の元アーグスンマ)、 久貝則子さん (狩俣の現役アブンマ) がパネラーを務めた。
佐渡山さんは 「祭祀を担うツカサが誕生せず途絶えているところがある。 どのようにすれば復活させていくことができるか。 豊作祈願で続けてきたものを省く、 あるいはまとめてやっていくことはできるのか」 と問いかけた。 これに渡久山さんは 「一つにまとめてやった方がいいと思うが、 神事だから難しいのではないか」 と述べた。
島村さんは、 アブンマとなった久貝さんに対して 「なぜツカサになろうと思ったのかを聞きたい。 意識的に決断したことは貴重な存在であり、 一つのモデルになるかもしれない」 と質問した。 久貝さんは、 2年前に入った経緯を説明したあと 「やってみて大変であり、 これ以上の事を先輩たちはやってきたのかとしみじみ思っている。 若い人が入ってくることを願っている」 と話した。
狩俣さんは 「沖縄の他地区では男性の公民館長がほとんどの段取りを行っており、 女性のツカサはニガイをするだけ。 先祖伝来の伝統文化に敬意を示して行っている」 と紹介した。
島村さんは 「本土では高度経済成長で中断し消滅した祭祀もある。 21世紀になっての中断だが、 これまで人々は決まった役割をやってきて、 その価値を振り返る必要がなかった。 ここに来て人々は何のためにやっているのかを考えるようになった。 中断だが賢い生活の中で再生を果たすことが出来るのではないか」 と期待を込めた。
シンポジウムの前には、 居駒さんが 「宮古の祭祀と継承」 の演題で講演した。 また 「宮古の祭祀の現状」 のビデオ報告、 狩俣や西原、 佐良浜の神歌の披露もあり、 厳かな中の歌が参加者の胸を打っていた。
宮古新報